1.目的
受注時、顧客の設計仕様を基にして概略の設計費用を試算するために本基準を設ける。ただし、
設計完了時の設計費を決定づけるものではない。
2.見積基準
新規設計における見積額の計算は、次の三要素から求める。
設計費=端子数×設計仕様係数×単価
設計過程、及び初期設計完了後の修正については、工数換算により見積もるものとする。
(1)端子数
回路の規模を表す要素として部品点数が上げられるが、実際には各部品の形状の大きさ、
半田付けを行う端子の数によって、実装スペースや設計工数に大きく影響を与えるものである。
本基準では、端子数の合計を試算の一要素として捉えることにする。
(2)設計仕様係数
設計仕様係数は、設計のやり方、基準を明確にするものであり、次の式によって表す。
設計仕様係数=層仕様係数×回路仕様×実装仕様×部品仕様×密集度仕様×納期仕様
ただし、各係数には重み付けに多少の差が生じる場合もあるため(ex.操作基板のように
配置固定部品の多い基板と少ない基板)、最終計算時には調整が必要になる場合もある。
@層仕様
基板の標準サイズを試算する際にも、層仕様係数を使用しているが、ここでの仕様は面積に
対する係数と区別して、設計のやり方の係数として使用する。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
1 |
層仕様 |
片面 |
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2 |
両面銅スルー |
||
3 |
銀スルー |
||
4 |
多層 |
A回路仕様
アナログ系、特に高周波系の回路になっていけば、レイアウト、パターンの引き回しに対する
配慮が厳しくなるため、それを係数で表す。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
5 |
回路仕様 |
デジタル |
|
6 |
アナログ |
||
7 |
デジ+アナ |
||
8 |
高周波 |
B実装仕様
部品の実装面に対する係数を表す。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
9 |
実装仕様 |
ディスクリートのみ |
|
10 |
ディス+部品面チップ |
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11 |
ディス+半田面チップ |
||
12 |
ディス+チップ(部+半) |
C部品仕様
各部品の実装方向を指定する場合やスイッチのように基板上の位置を固定化した場合の係数である。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
13 |
部品仕様 |
方向固定 |
|
14 |
方向フリー |
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15 |
配置固定有 |
||
16 |
配置固定無 |
D密集度仕様
回路部品を要求基板サイズ内に収める余裕度の係数であり、別紙「基板面積算出基準」に基づいて
標準的な実装度を計算して係数差を設ける。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
17 |
密集度 |
ゆったり(余裕) |
|
18 |
標準基板サイズ(計算値) |
||
19 |
少し窮屈(多少過密) |
||
20 |
ラッシュ(超過密) |
E納期仕様
要望設計期間に対する係数である。
No |
仕 様 |
内 訳 |
仕様係数 |
19 |
納期 |
ゆったり(余裕) |
|
20 |
標準日程(計算値) |
||
21 |
ひかり(特急) |
Fその他に、難易度及び検査用ランド要否による仕様
(3)単価
1端子に対する基本的な設計単価であり、これは市場の動向、及び顧客の要望等により変化するもの
である。しかし、一顧客に対する価格は一定化するのが望ましい。
(4)基本的な考え方
あらゆる機器の制御回路を実装設計する場合に求められるものは、(1)回路の機能を満足させる
(ノイズに強い等)、(2)低コストの基板に仕上げる、(3)実装工程において如何に生産性を高く
して低コストで生産できるか、そして、(4)全工程を通じて品質の高い実装基板に仕上げる、の
4点に尽きると考える。これを達成して出来上がった実装基板、即ち製品・商品が競合他社に
打ち勝つことになる。
実装設計はご存じの通り、プリント配線板自体の設計が全てではない。その前後に関わる技術全
てが絡み合って出来上っている。従って、生産の流れ、市場の使われ方等を熟知した上で設計す
るのと、しないのとでは、商品に差が生じるのは当然の結果といえる。
この見積基準は、これらの基本的な考え方を基に作成すると同時に、
Q:品質、C:コスト、D:納期 のバランス設計を基本とする。
見積書サンプル→
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